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「そうだなあ……じゃあやってみますか。想像力を、働かせて?」
カードを机の上に置き、肘をついて両手の指先を触れ合わせた。
そこに口元を近づけて、上目遣いにこちらを見ている。
あざけるような、その目。
「何でもいいんですよねえ?」
さらに念押し。
私は黙って頷いた。
「じゃあ……潰れた睾丸に見えますね。ほら、この辺とか特に。でも人間じゃないなあ。きっとこれは、牛の睾丸かな」
にっこりと微笑んで首を傾げる。
口元がニヤニヤと持ち上がっている。
指先が一瞬離れて、爪を研ぐ猫のように空を切った。
「どうです、センセ? そんな風に見えてもかまいませんか」
「ええ、もちろん」
私はそう答えて、カードを回収して、二枚目を差し出した。
今度はモノクロではなく赤い色の入ったカードを出してみる。
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