一、ハバネラ(恋は野の鳥)

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「そうだなあ……じゃあやってみますか。想像力を、働かせて?」  カードを机の上に置き、肘をついて両手の指先を触れ合わせた。  そこに口元を近づけて、上目遣いにこちらを見ている。  あざけるような、その目。 「何でもいいんですよねえ?」  さらに念押し。  私は黙って頷いた。 「じゃあ……潰れた睾丸に見えますね。ほら、この辺とか特に。でも人間じゃないなあ。きっとこれは、牛の睾丸かな」  にっこりと微笑んで首を傾げる。  口元がニヤニヤと持ち上がっている。  指先が一瞬離れて、爪を研ぐ猫のように空を切った。 「どうです、センセ? そんな風に見えてもかまいませんか」 「ええ、もちろん」  私はそう答えて、カードを回収して、二枚目を差し出した。  今度はモノクロではなく赤い色の入ったカードを出してみる。
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