60人が本棚に入れています
本棚に追加
/354ページ
私は二枚目を回収して三枚目のカードは裏向きのまま渡した。
「続けて?」
万堂は一瞬ほんの数ミリ眉を動かしたが、裏返したままのカードをめくろうとせずに口を開いた。
「ねえセンセ。ところで一つ、確認しておきたいことがあるんだけど」
「何でしょうか」
机の上に片肘を残して半身を捻り、万堂は斜め後ろへ流し目をくれた。
「あのさあ、あんたらって、やっぱりデキてんの?」
ガシャと音を立てて堀くんが机の上の筆記用具をひっくり返した。
私はじんわりと口の端を吊り上げて聞き返す。
この男、面白い。
「なぜ、そう思いましたか?」
音もなくこちらに視線を戻して万堂は舌先をひらめかした。
「いや、だってあの男、ずいぶんあんたのこと尊敬しているように見えたから」
心理試験は実質それで終わった。
ほとんどのスコアは使い物にもならないだろうが、彼の人間性が少しは見え始めたと思った。
最初のコメントを投稿しよう!