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「そうね。科学検査である以上、誤りはつきもの。そして人の心は見えないから、誤っていることを証明はできない。ついでに言えば、正しかったことも、ね」
ポリグラフに限らず、それが難しいところだ。
精神鑑定がいまだに職人技だの芸術などと揶揄されるのも、根本的には同じ問題から派生している。
堀くんが口をぐにゅっと変な形に曲げて黙り込んでしまった。
この顔をしたら堀くんはそれ以上の思考はやめてしまう。
「ポリグラフの件はともかく、目撃証言は出てるわよ。五人目の彼女が証言して、万堂で間違いないって。ただこれも、あくまで彼女に声を掛けたのが万堂だというだけで、それと連続殺人犯が同一かどうかというのは疑問の余地があるわね。この声掛けに関しては、一応本人も認めてるわ」
記録によるとその認め方も一風変わっている。
「状況から見れば、僕と言わざるを得ないでしょうね」
そう万堂は答えたらしいのだ。
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