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「ならやっぱりカネ目当てかも。そのついでに……と言っちゃあナンだけど、強姦殺人もやらかした、とか」
「それだったら、クレカとキャッシュカードが手つかずの理由が不明ね。そっちが目的だったとしたら、たとえばこの暴行が暗証番号を聞き出すための拷問的意味があったんだとしたら、これだけ冷静な犯人よ? 番号が判明した時点で、ATMで実際に引き出せるか確認すると思うんだけど。こんな暴行犯が数百円のコンビニのATM利用手数料を惜しむとは考えづらいわね」
堀くんは弾力のありそうな腕をぴっちりと組んで「ふうむ」と唸った。
警察だってそれくらいのことは、考えつく。
被害者の銀行口座もクレジットの請求も、行方が分からなくなった当日から今まで、一円も減っていないそうだ。
財布も鞄も見つかることはなかったが、これは金目当てを装ったのではなく、被害者の身元を分かりづらくするために犯人が捨てたのだと私は思っている。
捨てる前に財布から現金くらいは抜き取ったかもしれないが。
「ええとじゃあ、こういうのは? 実はその被害者四人は何らかの重要なものを持ち歩いていて、それを奪うためだった」
「彼女たち、ドラゴンボールでも持ってたって?」
「……ないですよね、さすがに」
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