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「あれ? 新東拘の方、行ったことないわね、さては」
「ああそうか、新棟できたって言ってましたね、そう言えば」
そう言えば、どころかもうずいぶん前の話だ。
時の流れの早さに思いを馳せて、ちょっとくらくらしてしまう。
「全然旧舎と違うから。見て損はないわよ」
今度連れて行かなくては。
この仕事をやっていくには必要な洗礼だ。
私もずいぶんとあそこにはお世話になっている。
無論、収監されたことなどは一度もないが。
東京拘置所は今やハイテク要塞に生まれ変わっている。
臭いメシ、なんて言われていたのは一昔も二昔も前の話だ。
完全に管理されて清潔なはずの空間は外部と隔絶されていて、受刑者が季節を感じられるのは食事のメニューと多少の暑さ寒さだけだろうと思う。
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