一、ハバネラ(恋は野の鳥)

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 日本の警察は優秀だ。  逮捕状が出るというだけでそれなりの確信があってのこと。  そしてその先の刑事裁判に回されたということは、それはもうほとんどクロなのだ。  有罪率九十九パーセント超は伊達じゃない。  殴る蹴る暴行上等で自白を取っていた頃とは違って今は警察も検察もだいぶお上品になった。  ゼロにはならなくても、冤罪は確実に減っている。  仕事で仲良くなった弁護士たちもそれには全員が同意していたくらいだ。  これだけ大きな事件で誤認逮捕はまずないだろう。  実際私が鑑定してきた被告の中には、冤罪の人間なんて一人もいなかった。  今までは、一人も。  私は男を真正面から見つめてやった。  四人もの女の子を殺した凶悪犯は、どんなツラをしているんだろうと意地悪な気持ちで。  怖くないとは言わないけれど、それより好奇心の方が強く働く。  私はすでに女の子というような年齢ではないし、ここには堀くんも法務センターの職員もいて、安全なのだ。
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