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こんな時、一人娘は負担が大きい。
優しかったかもしれないが見事に何の役にも立たなかった父親は、とっくの昔に死んでいる。
あの時はまだこの女も身体能力は正常だったので(精神の方はもともとどうかしている)、父の終末期のほとんどの世話は母がやったのだと思う。
私はその頃、アメリカにいたので何も知らない。
知りたくも、ない。
「ねえ、リッちゃん。背中が痛いの……」
喉の奥から哀れっぽい声を出して同情を引く老婆。
「あらそう、治まるといいですね」
「痛いの。痛いのよう。ああ……」
布団の中でいつまでも嘆いていればいい。
私はどんなサービスもしてやらないと決めている。
だってお前は、私が昔そうやって泣いて訴えた時、何をしてくれた?
善意には善意が返り、悪意には悪意が返る。
そういう法則だと、釈尊が言っているらしい。
私は仏教徒でないので、よく知らないが。
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