トナリの少女は、オレの彼女。

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 しかし、俺の予想に反し、栞良は笑顔で首を振った。 「すっごく楽しいよ♪だってかんらがおじさんと一緒にいたいんだもん。告ったのかんらなのにどうして楽しくないと思うの?」 「だが・・・」 「それに全然構ってもらってないわけじゃないもん」 「え?」  俺が聞き返すと、栞良は左右を見て俺の胸を押し部屋の中に入った。  扉を閉め、鍵も閉めた栞良は再び俺の方を見た。 「だっていつもおじさん、寄り掛かってもいい?って聞いたらいいよって言ってくれるよ。そういうのって構ってるって言わないの?」 「お前・・・」 「かんらね、今まで結構いっぱい我慢してきたの。これしたいなとかあれしたいなぁとか思っても、していいのかなって言葉にはしないの。でも、おじさんにはしてって言えるの」  胸の前に手を置いて目を閉じた栞良は嬉しそうに続けた。 「どこまで甘えていいかわからないかんらにおじさんはここまでしか出来ないってちゃんと教えてくれる。だからかんらもおじさんの嫌がること少しずつだけどわかってきてるよ」 「・・・・・・」 「かんら、おじさんの彼女になれて嬉しいよ」  そう告げる栞良は満面の笑顔で言葉にしてくる。  ああ、ホント・・・こいつのこういうところ苦手だ。  まっすぐにこっちを見て、自分の言いたいことをサラサラと口にする。  子供ながらに真剣な気持ちをバカみたいに向けてくるから。  こっちも、本気にならざるを得なくなる。  11歳下のガキにこんな風に本気になるなんて思いもしなかった。  俺はフッと笑って栞良の髪を乱暴に撫でた。 「ガキが生意気なんだよ。ほら、夕飯作んだろ?」 「おじさんが変なコト言うからでしょ~?言われなくても作るもん」  栞良はぷーっと頬を膨らませてローファーを脱いで上がろうとした。  だが俺は通り過ぎようとした栞良の手を掴み、驚いて見上げる栞良の髪にキスをした。  すぐに唇を離すが、栞良は突然のことに固まったままだ。  生意気なコト言うくせに、キス1つで固まるなんてまだまだガキだなと俺は思わずクスリと笑ってしまった。 「たまには礼の1つもしねぇとな。俺はテレビ見とくぞ」 「っ、ま、待って!!」  踵を返しかけた俺の服を栞良が真っ赤な顔で掴んで引き留めた。 「い、今の・・・なに?」 「何ってキスじゃねェの?口じゃあるまいし驚きすぎだろ」 「な、なんでっ?・・・いま、までしようとしても・・・拒否、して・・・」 「・・・・・・お前はいちいち求めすぎなんだよ。俺を犯罪者にする気か?」 「も、もう1回してっ」  キスされたことがよほど嬉しかったらしい。  ったく、しょうがない子供だなと呆れ笑い、額を小突く。 「しねぇよ。もったいねぇ」 「なんでぇっ?」 「なんでも。それより腹が減ったから早く飯作れ」 「もぉっ、おじさん!」  ムッとした栞良がポカポカと背中を叩いてくるが、まったく痛くない。  だが、途端に駄々っ子になった栞良の宥め方もわかっている。 「そういや編集からケーキもらったんだ。食べるだろ」 「ホント!?食べるっ。あ、そういえば今日友達にお勧めのDVD借りたのっ。一緒に見よ♪」 「はいはい。夕飯終わったらな」 「絶対だよ、おじさん!」 「わかってるっての」  甘いもので機嫌が直った様子の栞良は俺の腕にしがみついて、また満面の笑顔になった。  ったく人の気も知らないで。  まぁ、まだ14歳だもんな。  とりあえずもうちょっと。  せめて16歳になるまでは手は出さずにいないとマズいよな。  それまで禁欲しなきゃいけないのは男として結構きついが、仕方がない。  栞良に負担は掛けられない。  まぁ、栞良は――――俺の彼女、だからな。
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