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「これはキッチンのでしょ?で、こっちは洗面所の…」
モールからまだ近い春太の家に買った物をとりあえず置いておくことになった。
それぞれ仕分けて、貰っておいたレシートと照らし合わせる。
口頭で金額を伝える春太に、オレは携帯で計算していく。
「で、ラスト!これで三人で割り勘しておっけーい」
「お疲れ様、皇にも連絡しとく」
「ありがとう〜。んーっ頭使ったら疲れるよねぇ、ちょっと休憩ー」
ベッドの近くにある大きなクッションの上にもたれ掛かる春太。
オレはテーブルの上のレシートを固めてから同じように座椅子に深く座り込む。
慣れ親しんだ春太の部屋は相変わらず物が多く個性的で、壁に飾られたボードには何枚も写真が飾られていた。
あ、あれは小学校の時の。懐かしいなぁ。
「あゆむ」
「うん?」
「ちゅーしよ?」
唐突に言われオレは目を丸くした。
「え…」
「さっき言ったじゃん、ボクともちゅーしようねって」
言ったなぁ。
「皇ともしたのにズルくない?それも2回したんでしょ?ボクもしーたーいー!」
バタバタと足をバタつかせる春太。
足が当たって地味に痛い。
「それともボクとするの…イヤなの?」
上目遣いでこっちを見てくる春太。
眉を八の字にして目を潤ませれば、オレがなんでも言うことを聞くと思ってるだろ。
その通りだ。
「わ、わかった…」
「ほんとー!やった!」
その場から起き上がると春太がこちらに近付いてくる。
徐に手を引かれ、二人でベッドに上がる。
「なんでベッド…」
「雰囲気が大事だからね!」
そういうものなのか?と疑問に思ったが、他を知らないので分かりようがない。
「じゃぁボクからするね?」
「う、うん」
そう言って春太の顔が近くなって、思わず目をぎゅっと閉じた。
ふにっと唇に触れる感覚がして、それはすぐに離れた。
なんだか皇の時と違ってあんまり緊張しなかったな。
それは春太の飄々とした態度が原因だろう。
冗談の延長のようなキスに、次の一回もこんな感じだろうとあまり身構えることはしなかった。
「…ふふ、あゆむってキスの時そんな風に目と口硬くなっちゃうんだぁ。貝みたいでかわいーねぇ」
春太に指で唇を撫でられる。
それまでのおちゃらけた声色が消え失せ、低く甘い春太の声に目を開ける。
いつの間にかもう片方の手は腰に添えられていた。
「でもさぁキスってそんなに硬くなってたら気持ち良くないよ?」
「へ、…っちょ」
そのまま服の中に手を入れられ、静止しようと口を開いた。
その瞬間また唇を塞がれ、頭を固定される。
「…っ!」
口の中にぬるりと柔らかくて濡れたものが侵入してきた。
それが春太の舌だということにワンテンポ遅れて気付く。
ぬるぬる口内を蹂躙する熱い舌にびっくりして、慌てて春太を引き離そうとした。
「…ふ、んむ…まっ」
だがそんな力どこにあったのか、全然動かない。
待ってと声を出そうにも舌ごと絡めとられて、吐息が漏れるだけだった。
「ちゅ…はっ、…んんっ!」
春太の舌が逃げるオレを追いかけ無理矢理絡められる。
舌と舌を合わせてぬろぬろ動かされると、まるで味わい合ってるみたいで、一気に顔に熱が集中した。
触れた唇が熱い、腰がムズムズする。
ちゅりと舌を吸われ、腰が砕けてしまいそうになる。
「はぁ…んむ…ふぁ、」
だんだん息が上手く出来なくなって頭がぼーっとしてきた。
気づけば春太にベッドに押し倒されていて、春太の手が服の中に潜り込み、探るように素肌を撫でられる。
「…っン!」
くすぐったくて身を捩ると、春太が吐息だけで笑った。
上顎をチロチロ舐められると我慢出来ずふぁ…っと甘えたような声が出てしまった。
恥ずかしい、…でも、ほんの少し気持ちいいかもと思った。
「ん…あは、あゆむ顔真っ赤…かわぃー」
しばらくキスされ続け、やっとのことで解放された。
オレは息を上げてぐったりとベッドに沈んだまましばらく起き上がれなかった。
初めてされたベロチューは強烈すぎて、目が勝手に潤む。
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