ほんとの気持ち

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ずっと一緒にいたいって言っていた。 オレ以外考えられないって言っていた。 でも、もしも春太が離れてしまったら? そんなの、そんなの…。 「せ、芹沢くん…っ!」 皇の質問にどう答えればいいのか戸惑っていると、後ろから皇が誰かに呼ばれた。 見ると同じクラスの、黒髪で大人しめな女子が赤い顔をして皇を見つめていた。 あ…これ、皇も告白されるんだ。 「あ、あのっ私…芹沢くんにお話があって…っ」 いつもなら皇はこういう時、碌に話も聞かず断っている。 それは前までは単純に面倒くさいからだと思っていたが、今となってはオレのことが好きなので断っていたのだと気付いた。 だから何様だと思うかもしれないが、今回も当然断るのだろうと思っていた。 「わかった、あっちで聞く」 「え…」 けれど皇はあっさり了承して、オレは呆気にとられた。 だ、だって完全に告白される雰囲気だろこれ?わかって返事してるのか? 「あゆむはちょっと待ってて」 「あ…う、うん…」 え、だって皇はオレのことが好きって言ってたのに。 なんで断るだろう告白をわざわざ聞きに行くんだ? 『振り向いてもらえないなら、他の誰かに気持ちが移ることもあるかもしれない』 さっき皇に言われたことが反芻する。 胸の辺りがざらついて、指先が冷たくなった。 でも、これはオレの自業自得じゃないか。 だっていつまでも二人がオレのことを好きでい続ける確証なんてない。 有耶無耶にしているこの状況なら尚更だ。 オレが二人の好意に甘えて、答えを出すのを怖がって、自分勝手に逃げて。 二人が愛想を尽かすのも時間の問題だ。 「……っ」 でも、どうしても二人の内どちらかなんて選べない。 二人とも大切で失いたくなくて。 …好き、だから。 「あれ?小鳥遊何してんの?」 落ち込んでいると、聞き馴染みのある声に名前を呼ばれた。 落合だ。落合こそ一人で何してるんだよ。 「…皇と春太を待ってるとこ」 「あ〜そういやあっちであの二人の告白大会開かれてたな〜、あたしも俺もって行列出来てて見物だったぜ?」 どんなだよ。 どんだけ人気なんだよ、ムカつくな。 「でもさぁ、芹沢も南も全部断ってるらしいじゃん。なんか好きな人がいるんだって、小鳥遊あの二人の好きな人知ってたりする?」 落合の言葉に目を丸くする。 同時に緊張が解け、握り締めていた手から力が抜けた。 「…知ってる」 「え!マジ?教えろよ〜どうせ卒業だろ?ってか何笑ってんだよ〜」 安堵して口元が綻ぶ。 ほんの少し泣きそうになった。
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