二人の幼馴染

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「おっはよ〜!」 春太が教室に入った途端に人が集まってきた。 明るくて誰とも打ち解けられる春太はクラスでも人気者でカーストは確実に上位。 春太と陽の皆さんとの朝の集いを横目で見ながらオレは自分の席についた。 皇も数人のクラスメイトに挨拶されていたが、軽く会釈するだけで無言だ。 だがそれがいいらしい、クールでカッコいいとのことだ。わからん。 オレ達三人は奇跡的に三年間同じクラスだった。 初詣で毎年誰も離れませんようにと願っているのが神様に通じたらしい。 クラス公認の仲良し三人組で、よく連んでいることを揶揄われる。 そりゃそうだろう、皇と春太だけならまだしも、クラスの中でもぱっとしないオレなんかが二人の間にいるのが不思議なのだ。 まあ幼馴染だと説明すれば皆納得したが。 「小鳥遊〜おっはー」 「おう、おはよう」 筆記用具を出したり黙々と準備をしていると前の席の落合がこちらを向いてきた。 季節問わずイガグリ頭のこいつは、ひょうきんでお調子者だと俺の中でインプットされている。 「ふっふっふっ、小鳥遊くんに朗報なんだが」 「な、なんだよ」 「実は放課後カラオケで合コンするんだけどさぁ人数が足りなくて、参加しない?」 「しない」 オレが答える前に後ろの席の皇が素早く答えた。 「なんだよ芹沢〜あ、なんだったら芹沢も来る?」 「行かないし興味ない。それと、あゆむは今日俺達と遊ぶから無理」 「げ、それじゃあ南も無理じゃん!」 「そういうこと」 南というのは春太のことだ。 落合は残念そうに肩を落とした。 まあ、春太がいれば盛り上がるもんな。 歌上手いし、初対面の相手とでも仲良くなっちゃうんもんな。 きっと最初にオレを誘ったのも、あわよくば春太と皇が付いてくるかもと思ってのことかもしれない。 「そういうことだからごめんな」 「お前らほんといつも一緒だよな〜」 せっかく誘ってもらったのも悪いが今日は三人で過ごすと決めているのでやんわりと断る。 それにオレも合コンは、ちょっと苦手かもしれない。気心の知れない人達の前で歌うのも嫌だし。 でもそういうことを言うとノリが悪いやつと思われるんだろうな。 皇が断るきっかけをくれて助かった。 オレはこっそり皇の方へ振り返り、口パクでありがとうと伝えた。 「うん」 オレが伝えたいことがわかるようで、皇は頷いた。
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