多分、俺だろう。

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 ええ、私も「ない」と思いますよ。だってそんなことがあったら、おそらく公的機関が動きますし、そこが都会であるほど、街なかで猿に出会う確率なんて低いですもの。  けれど、ヒトは生物学的にサル目ヒト科ヒト属に属するものであって、結局のところ猿の一種だと言われています。ホモ・サピエンスという名称もありますが、それはあくまで『知恵のある人』という意味で、「ヒトは猿じゃない」と否定はしていません。  では、一度も会ったことがない遠い遠い親戚が会いに来る可能性はゼロでしょうか。何かのタイミングで会いに来る可能性は少なからずあると思いませんか。そうしたら、それよりも遠い、遥かに遠い親戚の猿が会いに来る可能性は否定できませんよね?  とどのつまり、ヒトと猿を分ける決定的なものは、ヒト特有の文化を持つことと、直立二足歩行ができるかどうかだけなんです。現在主流となっているいくつかの定義は、もしかしたら来年にでも覆るかも知れません。言ってしまえば、二千万年ぐらい前にタイムスリップして徹底的に調査をしない限り、ヒトの始祖なんて分かりません。進化とは幾重にも及ぶ条件が折り重なってなされたもの。事実、ヒトとチンパンジーのDNA的な違いは、わずか1.2パーセントに過ぎません。ゆえに、ヒトはサル目に属すのです。  学術的な話ですら進化の過程にあります。完全な解に行き着くのはまだまだ先の話でしょう。
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