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10巡目
◉第1節終了
「はい、全卓終了しましたので新人は牌掃除をして他の選手は速やかに退場して下さい。お疲れ様でした!」
全ての卓が対局を終えたら新人は牌をおしぼりと乾いたタオルで磨いてキレイにしてから会場を出る決まりだ。仕事でいつもやっているカオリとマナミは素早いがミサトは初めての事なのでカオリに教えてもらいながらやるが、中々うまく牌が持ち上がらない。それもそのはず、全自動麻雀卓は牌の中に鉄板が入っていてそれを卓が磁石で持ち上げて積んでいく仕組みだが、プロリーグは対局前に牌チェックという作業を行い少しでも亀裂や落ちない汚れ、欠けてる角などを発見したら即交換するので牌の中にある鉄板の帯びた磁力がマチマチ。持ち上げようとしてもカチッと揃いにくいのだ。
「これは、ミサトじゃムリかもね。私達でやるからミサトはその辺でメグミさんと待ってて」
「わかった」
カオリは手先が器用なので扱いにくいリーグ戦の牌もチャチャッとキレイにして2卓分清掃した。
「はやーい」とマナミも驚く。
「じゃあ行きましょうか」と成田メグミが先導する。新人3人にゴハンを奢ってくれるらしい。
3人は初めてのリーグ戦を終えて自分はついにプロ雀士になったんだ。という実感をしていた。それは、カオリにはひとつの夢だった。
(夢って叶うんだなあ)そう思っていたらさっき牌掃除をした時から現れていたwomanが《何を言ってるんですか》と思考に入り込んできた。
《まだこれからですよ。でも、今日の対局。いい麻雀してましたね。私は嬉しいです。カオリはどんどん強くなる》
(コーチがいいからね)
《そうですよ、神様を味方につけた姉妹なんてきっとあなた達だけですよ。伝説の姉妹になりなさい。きっとその願いは叶いますから》
「カオリちゃんさっきから無言だけどどうしたの?」
「へっ?あ、ああ。なんでしたっけ」
「だからー、和食と洋食どっちにするかの話でしょ」
《おっと、私は一旦消えときますね。あとはお友達と楽しんでください。また、夜にでも》
(あとでまたね)
「私、普通のファミレスがいいです」
4人はファミレスで今日の反省会をすることにした。
「今日は飲むわよーー!」とメグミが3人に言うが
「私達はまだ10代ですよ」とマナミに言われそう言えばそうだった!と年齢差に衝撃を受けた主婦のメグミなのであった。
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