麻雀少女青春奇譚【財前姉妹】完結!

107/299
前へ
/299ページ
次へ
12巡目 ◉ライジンの記事 「はい、チキンステーキとラージライスです。器はお熱いのでお気を付けください」 「はい」とカオリ。 「スパゲッティナポリタンとほうれん草のソテーです」 「はーい両方私です」と奥から手を伸ばしてミサトが受け取る。 「いただきまあす」 「ちょっと私タバスコとってくるね」とミサトが出ようとするので「いいよ私が持ってくる。私もちょうど飲み物おかわりしたかったし」とカオリが気を効かせる。 「ありがとう、じゃあお願い」 「タバスコと言えばさ。レートはタバスコって話知ってる?」とマナミが言ってきた 「なにそれ、知らない」 「ネットで麻雀戦術論を公開してる『ライジン』って人の記事が面白くて。その人の日記に麻雀のレートについて書いた記事があったんだけど。それがすごくいいのよ」  そう言うとマナミはそのSNSを開いて見せてくれた。 ーーーー ××年××月××日 ××時××分 投稿者:ライジン 【麻雀のレートについて】 ごきげんよう、ライジンです。 今回は麻雀のレートとギャンブルについて語って行こうと思います。 結論から申し上げて、麻雀はギャンブルの部類に属さない。素晴らしい『競技』です。なぜなら、麻雀はあまりにもルールに縛られているゲームであるから。 まず、リーチについてですけど。 麻雀がギャンブルだと言うのなら勝負手なので10倍賭けとか言って万点棒リーチとかが可能なはずです。それは出来ないのが麻雀。 また、途中退場も出来ません。もう、やめだ。と思っててもゲーム終了まで付き合わなければなりません。ギャンブルなら好きな時にやめていいはず。 つまり、麻雀はあくまでゲーム。レートはそのゲーム性に面白味を増すように用意されたスパイス。七味やタバスコと同じようなものなんです。別にかけなくても美味しい。けど、かけてるとさらに美味い。だから自分の好みの量だけかける。それがレートの正体です。 みんな好きなピザやスパゲッティにかけるタバスコ。うどんの七味。それらと同じなんです。 だってほら どっちも、かけ過ぎ注意でしょう? かけ過ぎたら味覚障害になるものだから。程々に。 ライジン ーーーー 「へえ、うまいこと言うねこの人」 「なんの話してたのー?」とカオリがタバスコとウーロン茶を持って戻ってきた。 「タバスコと麻雀の話よ」 「???」 「私達みたいに、麻雀を愛してる人がいて。『麻雀は素晴らしい競技だ』って言ってくれてる記事の話」  その記事を読んでカオリは嬉しい気持ちになった。そして、その時カオリはこうも思った。理解者を増やすために私も何か書いて投稿しようかな。と。 (読んだ誰かを嬉しい気持ちにする記事を私も投稿してみたいーーー)  この日からカオリの投稿がひっそりと始まった。
/299ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加