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3巡目
◉リンリン
「似合うかしら…」
「井川さんにピッタリだよ!やっぱり声かけてみて良かったなあ」
井川ミサトはメイド服を着ていた。小宮山はミサトを一目見た時からウチに欲しいと思っていたのだと言う。
近頃都内で店舗数を増やしている大人気メイドカフェ『リンリン』の新店が茨城県水戸市にもオープンした。その水戸店の店長が小宮山だということだった。
「まだオープンしたばかりでね、スタッフは足りてないんだ。バイト大募集中だから入りたいだけ入ってくれて構わないよ」
「それは助かります!」
「こちらこそだよ。そうだ、源氏名は何にしようか」
「私は雀士ですし、麻雀に絡ませたいですね」
(麻雀…雀士…麻雀にハマってる娘…)
「あさぬま…すずめ」
「えっ」
「麻雀の沼にハマった美少女。麻沼スズメなんてどう?」
「美少女だなんて、ウフフ。それにしましょう!」
こうして、ミサトの金銭的な問題は解決した。ミサトは大学に通いながらバイトもたくさん入れて、ユウの家にも立ち寄っては麻雀部のみんなとも交流し、リーグ戦にも出場し休日には上野まで行き『麻雀ファイブ』で打つというスケジュールで暇な日など全くない時間のない生活をしていた。その日々は忙しい毎日ではあったが充実していた。井川ミサトは青春時代を目一杯楽しんで全力で駆け抜けていた。もちろん、移動の際の電車では相変わらず立ったまま。常に鍛える金髪美少女『護りのミサト』は、今日も肉体を強化して行くーー
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