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6巡目
◉物作り
(ねえ、woman)
《なんですか》
(womanってさ、痛覚とかあるの?)
カオリは常々気になっていた。womanは痛いとかあるのか?と。どうも気にしてしまい伍萬を切る時だけはすごく慎重にスッと捨てている自分がいた。
《ありませんよ。私は肉体はありませんから。魂だけの存在だと思ってください》
(そうなんだ、良かった。なら作ってみたいものがあるの)
《なんでしょう?》
(うふふ〜。なーいしょ)
翌日。カオリは手芸屋に行った。
(えーっと…ハンドドリルとヒートンと金属やプラスチックに使えるセメダイン…あとネックレスチェーンか…)
2260円で全部揃った。
(よーし、これで作れるぞお)
『ひよこ』から貰ってきた予備牌の赤伍萬を今までは巾着に入れてそれをポケットに入れていたが、それだとポケットが無い時に困るということに気付いた。最近は暖かい日が多いので上着を羽織らない時もある。そういう時にwomanをポケットに連れて行けない時があるのでいっそペンダントにして首から下げちゃおうと思ったのだ。でも、ダイヤのついた赤伍萬キーホルダーは韋駄天さんから譲ってもらった大切な宝物だからあれは自分の部屋で管理するとして。普通の牌をペンダントトップにするにはドリルで穴あけしてヒートンという丸い金具を付けなければいけない。その道具を手芸屋で買ったのである。
「よーし、やるわよお」
《あっ、もしかして私。アクセサリーになるんですか?》
「そーよ、これからは薄着の時でも毎日ずっと一緒~」
《それは楽しみです♪ありがとうございますカオリ》
「じゃあ穴あけるからね。本当は痛いならすぐ言ってね!」
《大丈夫ですってば》
カオリはハンドドリルで牌の上部に穴を掘り始めた。
《完成が楽しみですね!》
「うん!」
ーーー
(このくらいかなー)
ヒートンを差し込んでねじ込んでみる。
(アレっ?これ以上はキツくて回らないわ。指先が痛い)
《何か工具で挟んで回せないでしょうか?》
(工具箱にヤットコがあったはず)
《それを使いましょう》
ヒートンをヤットコで挟んで回す。
(あ、回った回った)
奥までねじ込んだらセメダインで固定して…乾いたらネックレスチェーンを通して。
「できたあ!」
赤伍萬ネックレスの完成だ。
《これでポケットのないワンピースとか着てても一緒に居られますねー》
(アクセサリーとしてもすっごくオシャレだし。いいものが出来たわ。伍萬ってオシャレな牌だもんね。私は伍萬がデザインも一番好きなの)
《ウフフ、そうなんですか?照れます》
こうして、カオリは伍萬をアクセサリーとして肌身離さないようになった。それと同時にカオリはこの時から物作りの楽しさを知り、オリジナル麻雀グッズの作成をするという趣味にも目覚めるのだった。
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