14人が本棚に入れています
本棚に追加
10巡目
◉最終節
第4節と第5節の間隔は短くて、あっという間に今日は36期前期リーグ戦の最終節だ。
マナミは首位昇級に向けて気合いを入れていた。首位昇級者は1年間の大会予選1回戦シードという特典が付くし僅かばかりの賞金も発生する。大学生のマナミにはそれだって大切なので絶対にこの首位という座を譲りたくはなかった。2位には神田川満というおじさんが付けていたが彼は前回のリーグ戦で落ちてきたベテランだ。彼が強いという話は聞かないし、また昇級さえすればいいというタイプだと思うからそれ程警戒していない。問題は妹の方。あれは間違いなく強い。それだけは事実だった。
(私の首位を脅かすとしたらきっとそれはカオリだ。カオリとの同卓だけはしたくない。それだけはありませんように…!)
ーーー
会場へ到着する。卓組み表を確認する緊張の瞬間だ。
「あっ…!」
最終節はマナミとメグミが対決することになった。メグミは昇級ラインギリギリであるしマナミは首位昇級を狙っていた。つまり、2人とも負けられない戦いだと言うこと。
「メグミさん、何度も言うように私は本気しか出せません。今日はよろしくお願いします」
「ふ、私の前に立ち塞がるつもりなら今度こそブチ破るわよ!」
コンピュータによりランダムで作られた卓組みで二度目の直接対決となる2人。お互いに相手をよく知っているが故に(私はなんてついてないんだ)と2人して思ったと言う。しかし、そのような気持ちは微塵も顔に出さず、強い闘志で臆病な本心をひた隠しにした2人だった。
(臆したら負けだ。私は勝つ!)
(こんな少女に二度負けていられない!今回こそ私が勝つ!)
直接対決する2人がいるので今日は円陣は組めなかった。だけど4人は4人とも心では思っていた。
(みんな昇級…神様、お願いだから!みんな昇級できますように!!)と。
最初のコメントを投稿しよう!