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7巡目
◉ショウコの魅力
倉住ショウコと浅野間サトコは近頃『グリーン』に通っていた。ここのアイスコーヒーの美味しさにハマったのと、麻雀教室建設計画を聞いて手伝いに来ていたのとあるが、基本的にはコーヒー目的で訪れていた。
「…んはーー!美味しい。なんていうのかな、スッキリする飲みやすさの中に独特のコク?のようなものがあり飲んだ後に広がる後味も良くて…。アイスコーヒーなんてそんなに違いはないだろと思ってる人は絶対にここのコーヒー飲んで欲しい」とショウコが絶賛する。
「店長さん、アイスコーヒーおかわりください」と一杯目をあっという間に飲み干して既におかわりを注文するサトコ。
「もう飲んだのかい、ははは。そんなに喜んでもらえて嬉しいよ。気分がいいから今日はおかわりは無料にしてあげよう」
「えー!ありがとうございます」
アイスコーヒーの値段は本来500円でおかわりからは半額だから250円のサービスだ。まだ高校生であるショウコたちには充分に嬉しいサービスである。
「ショウコちゃんもおかわりするかい?」
「ええもう、それは勿論です!」と言ってズズッと一杯目を飲み干した。
「フフフ、別に急いで飲まなくてもいいんだよ」
美味しいコーヒーを飲みながらだと勉強も捗るようで2人は毎日のように高校、喫茶店、麻雀部、の3か所をグルグル回るような生活が習慣になっていった。
トゥルルルルル…トゥルルルルル…
カチャ
「はい、お電話ありがとうございます。喫茶グリーンです。…ああ…えっ……そうか…いや大丈夫。お大事にしてください。…それは大丈夫だから…はい、じゃあまた」
カチャ
「ふう…」
電話を切ると(あ、そう言えば!)みたいな顔して店長が見てきた。
「そう言えば2人は高校では料理部なんだよね?」多分、アンから聞いたんだろう。
「実は明日から出るはずのスタッフがインフルエンザにかかってしまったという連絡が来てね。どちらか1人でいいから明日だけでも少し出てここを手伝ってくれないかな。時給は弾むから!」
(えっ…どうする?)と言った感じで顔を見合わせるショウコとサトコ。
「私がやっていい?」とショウコはサトコに聞いた。
「いいよ、私は勉強したいし」
「決まりました。私が手伝います!キャベツの千切りは任せてください。いや、それ以外も出来るけど。…えへへ、楽しみ〜」
「助かるよ。ありがとう」
この日から喫茶店『グリーン』に倉住ショウコがスタッフとして登録された。
倉住ショウコはとても魅力的で人懐こい性格をしていたので、これがきっかけとなり喫茶店グリーンはその後キッチンのショウコとドリンク&ホールのアンとで可愛くて愛想のあるスタッフがいる店として知られていく。
看板娘の噂を聞いて来たような人も一度そのアイスコーヒーの味を知ってしまえばたちまちリピーターになっていくのであった。
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