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18巡目
◉牌譜添削
ライバル同士で激突した第1節が終わった。混合リーグと違い女流リーグはそんなに殺伐としていないのが特徴だ。卓を抜ければ同じ趣味を持つお友達といった具合に仲良くなれる。
「ねえ、財前さん、井川さん、あなたたち物凄く強いのね。誰に習ったらそんなに強くなるの?私は子供のころ従姉妹に教えてもらったんだけど、師匠って感じの人はいないのよ」と福島弥生が聞いてきた。
カオリは(私の師匠は神様だけど…)と思ったがそんな事言えるわけもなく「成田メグミさんとかかな。あとは友達のお兄さんにも教えて貰ったよ」と答えた。
「私も同じ人。友達のお兄さん」
「私も」
「え?!その友達のお兄さんは何者なの?」
「普通の人だよ。雀荘で働いてる普通のお兄さん」
「別に特別強くもないよ。精神力は強いけどね」
「ちなみにそのお兄さんの妹はついこの間、第一回UUCコーヒー杯っていう新しいタイトル戦で優勝したよ」
「ゆ、優勝!?やっぱりそのお兄さんが只者じゃないんじゃない?!」
カオリたちは言われてみれば…そうなのか?と考え込む。
「…いや、そんなことはないと思う」
「武者修行するって言って東京行ったきり帰ってきてないしねー」
「そうなのか…ねえ!マナミさんカオリさん井川さん、私と連絡先を交換してくれない?私、強い人と繋がりたいの」
雀士をその気にさせるには『強い』と褒めるのが一番だ。一言『麻雀強いね』と言っておけば誰でも仲間になってくれる。事実、マナミもカオリもミサトもこの時あっという間に福島弥生に心を許したという。
「いいよ。よろしくね福島さん」
「ヤヨイでいいです」
「よろしく!ヤヨイ」
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一方、ユウとアンはどのように麻雀教室を行うか考えていた。
「ネット麻雀を使うのはいい考えのような気がするの。都会に出ることなく対戦出来るでしょ」
「でも、問題はそれをどーやって教室化するのかよね」
「観戦をして添削するってのは?」
「観戦?」
「ネット麻雀は対局を観戦できるでしょ?データを送ってもらうことも出来るし。それを見て、添削するの。赤ペンせんせーってコト!」
「それ!いい!」
こうして、茨城県水戸市の駅前喫茶店に牌譜添削屋さんが誕生した。
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