麻雀少女青春奇譚【財前姉妹】完結!

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11巡目 ◉同テン  オーラスの親は成田メグミで、メグミはノーテンで伏せれば昇級なので連荘はない最終局。  接戦なのは福島弥生(ふくしまやよい)財前真実(ざいぜんまなみ)の2名。この2人の勝った方がBリーグ優勝になる。そんな場面だった。 オーラスの並びは 東家 成田恵美 南家 財前真実 西家 福島弥生 北家 早坂公子  カオリとミサトは距離を取りつつ後ろから見ていた。丁度優勝争いをしてるマナミとヤヨイの角の延長線上から眺める。 「チー」 三四六六七七七八34(②③④) ドラ北  マナミが(カン)③を鳴く。断么(タンヤオ)三色(サンショク)のイーシャンテンだ。トップのヤヨイとは1900点差。ここに二と2で仕上がれば優勝だ。 「ポン」 二二六七八⑤⑥⑥34(中中中)  ヤヨイも中を仕掛けて必死である。それはそうだ、この局はテンパイノーテンでも負けるのだから前のめりになるしかない。仕掛けもするしMAXまで受け入れを多くするのは当たり前だ。 マナミ次巡 ツモ伍 打八 (張った!) (でも安めじゃだめだ。直撃すれば別だけど) ヤヨイ同巡 ツモ④ 打⑥ (こっちも張った!) (だあーー、同テンじゃない!これじゃマナミに勝ち目ないわ) (まだ、三色手替わりが…) (ないわよ。二は場に2枚、ヤヨイが2枚で品切れ) (優勝はヤヨイでした!おめでとう。我らが財前真実は2位昇級です) (充分充分)  などとギャラリーは決め付けていた。しかし。 ヤヨイ次巡 ツモ伍 打八 (ま、寄せるよね。八現物だし) ヤヨイさらに次巡 ツモ四 ヤヨイの思考 (これは…どっちだ?断么確定の可能性で言えば四-七の方が当たりになりやすいけど一-四は四だけに賭けた234の三色ということがありそうで怖い。せめて234に絡まない方を捨てた方がいいか) 打七 「カン!」 (あ!新ドラ!) (この可能性があったか!) カチ  しかし開かれた新ドラは東だった。 (そううまくいかないよね)  だが!! 「ツモ!」 三四伍六六34 2リンシャンツモ(七七七七)(②③④)  断么リンシャンの2000点直撃!カンして補充牌(リンシャン)でツモった場合はカンさせた方の1人責任。放銃の時の同じ払いをするというルールが麻雀にはある。これを『パオ』と言う。奇跡の逆転劇。  開かれた手を見て呆然とするヤヨイ。 「まさか…同テンなのに放銃になることがあるなんて…」  こうして、女流Bリーグ優勝は財前真実となり。他4名(福島弥生、財前香織、井川美沙都、成田恵美)もしっかり女流Aに昇級したのだった。
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