麻雀少女青春奇譚【財前姉妹】完結!

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13巡目 ◉配置  ユウはその日コタツでカオリがくれたみかんを食べながらボーッとしていた。   ピ  なんとなくテレビをつける。すると芸能人の麻雀番組がやっていた。『割れ目にロン!』という番組だ。割れ目とは配牌の取り出しをスタートする山の場所のことを指す。この割れ目ルールは割れ目だと得点2倍になりその代わり失点も2倍となるというもので親で割れ目(サイのめ5か9)なら満貫ツモでも8000オールなのである。  その麻雀を眺めていて、ふと。 (あれ、この人は本当に強いぞ)と思う人がいた。  なぜなら手牌がこうだったから。 中中中345三三白白③②① ドラ中  (ちゅん)ドラ3確定の高目ツモなら跳満。これをダマ。注目すべきはこの並びだ。  右端は袖口が引っかかって倒れる場合があるので見えてもゲームに支障の少ない完成順子を配置。さらに①②③ではなく③②①となっているのはダマテンだから。まだ手を変えられる、つまり④を引いたら①を切るつもりだからスムーズに取り替えられるように①を右端に。尚且つこの瞬間アガリになった場合にもキレイに並んでるように見えるようにする配慮。中は4枚目を引いてアンカンした場合に備えて万一隣を倒してもゲームに影響の少ない345を配置。完璧なメンツ配置だった。 (ふーん。ちょっとすごいな。誰だろこれ)  それは芸能人に混じってゲストで呼ばれた麻雀プロ『白山詩織(はくざんしおり)』だった。 「あっ!これ、女王位の人。…へえー。さすがだなぁ。これは本物だわ」  本物の打ち手は手牌の配置だけでも違う。女王の実力をユウはこの並びだけで実感したのだった。  
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