麻雀少女青春奇譚【財前姉妹】完結!

202/299
前へ
/299ページ
次へ
14巡目 ◉雀聖位戦  その頃、ユウたちは麻雀教室をプレオープン的に始めていた。  まだ、アンやショウコは卒業していないしユウも大学生なので頻繁に時間を割くことは出来ないが、準備だけは整っていたので都合のいい日に試験的にやってみたのだ。  しかし、最初は全然だめ、来客ゼロ。(まあ、そんなもんだ)と、諦めかけた。その時…! 「あのー。麻雀教室っていまやってますか?」 「はい!営業中です、いらっしゃいませ!」  そこに来たのはサラリーマン風の男性だった。 「うちの上司が麻雀好きで…接客麻雀を出来るくらいの腕になりたいのですが、お願いできますか?」 「なるほど、接客麻雀ということは読んで差し込む技術を学びたいということですね。お任せください。私がお客様を差し込みのプロにして差し上げます」  記念すべき1人目のお客様はサラリーマンの岬芳一(みさきよしかず)(27) 「私が…って。キミが講師なのかい?」 「ええ、不服でしたか?」 「いや、そう言う訳じゃないけど…ずいぶん若い人なんだなぁって」 「ふふ、これでも私、第一回UUCコーヒー杯って言うちょっと大きめの麻雀大会で優勝してるんですよ。言わばタイトルホルダーです」 「タイトルホルダー!?す、すごいな…それは失礼しました。よろしくお願いします」  麻雀教室は実際に来店するお客様以外にもパソコンに依頼人から牌譜データを送ってもらって添削をするという仕事も稼働し始めていて、少しずつ活動を開始していた。 ーーーー ーーー ーー    季節は巡り。カオリたちはC2リーグでも活躍して誕生日も来て19歳。十代最後の年となっていた。 《カオリもすっかり大人になりましたね》 (そう?自分じゃわかんないわ。麻雀が強くなった気はするケドね)  今日はアマチュア参加可能なビッグタイトル『第30回雀聖位戦』の準決勝だ。準決勝にはなんとプロ予選1回戦から勝ち進んでいるマナミとアマチュアから勝ち抜いたユウが残っていた。ユウはタイトルホルダーなので本戦からのシードを貰っていたが、それにしたって準決勝はスゴイ。   「さて、私もそろそろ行くかー」  予選落ちしたカオリは今日はマナミの分まで働かなければならない。 (勝ってよ!マナミ、ユウ)  ライバルたちの勝利を祈って、カオリは『ひよこ』へと出勤した。
/299ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加