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第十二局
13巡目
◉絶体絶命
4回戦
座順
東家 財前真実
南家 佐藤優
西家 河野勇一郎
北家 左田純子
東1局6巡目
南家佐藤優からのリーチを受けて河野勇一郎の手はこうだった。
河野手牌6巡目
一二①119東西北北白発中 ①ツモ
国士無双リャンシャンテン!とりあえず安全性の高そうな2枚持ちの北を1枚捨てておく。
打北
左田純子はこう。
左田手牌6巡目
三三伍伍八八②②④⑨⑨2中 北ツモ
七対子ドラドラのイーシャンテン。ユウのリーチ宣言牌である④をとりあえず捨てる。
打④
その時の財前真実7巡目
四伍六六七九③③④⑤⑤24 4ツモ
タンピン一盃口のシャンテン。だが、その浮いた九はユウのド高目になっている!
マナミの思考
(ドラ跨ぎ…か。親とは言えまだ九を勝負する手じゃないわね。それに④はあと1枚しかない。実質ピンズは縦に変化していかないと役に立ってくれなそう。とりあえず、ラスト1枚の④をダイレクトに埋めた場合のみ九勝負の構えね)
打2
《マナミが打っちゃいそうですね》
(とりあえず一発は回避出来て良かった。④が薄いのが幸いしたね。でもまだピンチには変わりない。このままだと次巡出ちゃうよ)
ユウは7巡目ツモ二
打二
河野7巡目ツモ⑨!
イーシャンテンだ!しかも浮いてる二は都合良く今安全牌になったばかり。前進の気配を悟らせずにいられる。
打二
左田7巡目ツモ中!
テンパイだ!しかしリーチでいいか?危険かと思った2は親がリーチに一発で通してくれているが、逆にそれが怖い。親からの追いかけリーチもかかる可能性があるということだからだ。とは言え、1枚切れのリーチに通ってる字牌単騎。どんなに待ってもこの北より良い待ちになどならないだろう。そして、ダマにするよりもリーチで追い詰めた方が即決の可能性が高くてアガリ率も高まりそうなのも分かってる。分かっているが。もう、悩んでしまった。
(悩んだ時はダマだ。もう、ノータイムでリーチという最高の対応は出来なかったのだから。くそ、難しいな。完璧な麻雀を打ちたいとあれ程願ったのに)
打2ダマ
マナミ8巡目ツモ2
(あちゃー、素直に打九だったらタンヤオ七対子のイーシャンテンになってたか。いや、でもやっぱドラ跨ぎの九からは切れないよ。しゃあないわ)
打2
それを見た左田
(あっ!打北ならそれを捕まえてた!っていやいやそんな選択はさすがにないわ。これはミスのうちには入らない。しかも今のはツモ切りだもんね。対子落としをされたならショックだったけど)
ユウ8巡目ツモ南
打南
河野8巡目ツモ南!!
張った!役満。国士無双!
しかし理想を言うならこの南待ちで張りたかった。直前で通した南ならノーマークで出されただろうが九はドラ跨ぎでユウのリーチに危険牌でもある。というか当たりだ。
(こっち待ちか、出アガリの期待は難しいとこだが、それでもとりあえずはダマにしてプレッシャーは与えないようにしよう。リーチ一軒だけなら押し返す気になる奴がまだ出てくる可能性はあるからな)
打①ダマ
《ああ!マナミが手順がいいばっかりに役満とのダブロンになるイーシャンテンになっちゃいました!》
(しかもこの九を河野プロにツモられてもダメ!この接戦で役満なんかやられたら決着と同じことだもん。ああああ、絶体絶命よ)
観戦者全員がそう思った。事実、アタマハネ制度のないこのルールでは現状ユウがツモアガリするくらいしかこの状況を打破する展開はないと思われた。だが!
左田8巡目ツモ九
先に九を掴んだのは左田純子の方だった。
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