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第十二局
14巡目
◉途中流局
2人の当たり牌である九を引いてしまった左田。その牌をどうする?!
左田純子手牌
三三伍伍八八②②⑨⑨北中中 九ツモ ドラ八
(何コレ?!キツくない?ドラ跨ぎの九…。北単騎の方がずっといいのは百も承知だけど…こういうのを止めるためのダマでもあったんじゃない?)
左田は長考する。
打北
「フー…」
《止めた!偉い》
(コレ。あと2枚の九を3人で引き当てるゲームになったってこと?)
《いえ、それよりも…》
(!そうだ!それよりも!)
財前真実は考えていた。
(九なー。序盤で捨てとけば良かったのかなー。でも、愚形のソーズとかに期待するより四伍六六七九の伸びを期待した方がいい手だと思ったんだよなー。ああ、厄介なことになったわ)
財前真実手牌
四伍六六七九③③④⑤⑤44
(マナミ引いちゃえ!今!この瞬間!あと1枚の…④!)
《そうそう!そう言うことです!》
マナミのツモ番だ。ここで強いテンパイをすればマナミは九を勝負する。
マナミ9巡目ツモ④!!!
「リーチ」
打九
「「「ロン!!!」」」
「えっ?!」
3人の手牌が同時に倒れる。
ユウ
一二三四伍六七八②②345
河野
一①⑨119東南西北白発中
左田
三三伍伍八八九②②⑨⑨中中
「さ…三家和…!」
「立会人!トリプルロンは?」
「当団体では途中流局を採用しています。親は流れて一本場」
(…よ、良かったあー)
こうして、東1局は流局となりマナミは絶体絶命のピンチを0失点で抑えた。
財前25000
佐藤24000
河野25000
左田25000
供託 1000
《凄い局でしたね》
(8000と32000と6400をルールによって0に抑えたのはこれ以上ないスーパープレイ!)
《46400点回避。いや、ユウのリーチが裏があったとしたら50400点。とんでもない事ですよこれは。なんて劇的な東1局…これが、タイトル戦決勝の半荘のレベルなんですね》
麻雀には三家和というルールがあり、3人が同時にロンの場合にはそのアガリは全員不成立で局が流れるというものがある。このルールを採用しているグループは多く、
日本プロ麻雀師団もそうだった。
つまりマナミだけ大助かりした局ということ。
「リーチ」
テンションが上がってきたマナミは強気でリーチをかけてきた。
「ツモ!」
二三三四四333678西西 伍ツモ
安目ツモのリーチツモだけだ。しかし…
裏ドラ西
「2000.4000は2100.4100」
財前34300
佐藤19900
河野22900
左田22900
観戦者がワッと盛り上がる。ここでの財前真実の追加点は大きい。元々一番リードしていたのがマナミだったので更なる追加点で頭1つ抜けた。
《マナミの勝ちな気がしますね》
(まだわかんないけど、雰囲気的にね)
「あーん、部長強すぎるぅ。私はユウさんに勝って貰った方が助かるんだけどなぁ」
ユウと一緒に麻雀教室をやるアンはユウの実績があれば麻雀教室での宣伝になるので是非とも優勝してもらいたかった。
「マナミはね、天才なのよ。超が付くくらいのね。とは言え、あのユウがこのまま負けるとも思えないけどね」とミサトが言う。
「ロン」
東3局はユウのダマ8000が炸裂した。タンピンドラドラだ。放銃したのは左田純子。
財前34300
佐藤27900
河野22900
左田14900
「さすが、ユウね」
「でも、いつもならリーチしてそうな手だったわ。さすがのユウでもプレッシャーを感じているって事なのかしら」
「どうなのかしらね」
東4局はマナミが9種9牌で流した。総合ラス目でこの半荘もラス目な左田純子の東場の親番があっけなく終わる。
(この、小娘〜〜〜!!)
雀聖位を決める決勝戦最終試合はあと1周。残すは南場だけとなった。
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