14人が本棚に入れています
本棚に追加
4巡目
◉オールグリーン
近頃、メキメキと実力を付けてきたのはカオリだけではなかった。
それはマナミである。
マナミはもちろんカオリをライバル視しているのだが、普段のカオリはwoman《かみさま》の指導ありで打っている。つまり、知らぬ間にマナミは神をライバル視していたのだ。それは強くなって当たり前というもの。
「ツモ!16000オール」
一九①⑨199南西北白発中 東ツモ
「またマナミちゃんの勝ちかー!」
「最近特に強くなったんじゃない?」
「伊達に雀聖じゃないってことかー。さすがプロ」
「えへへ。ありがとうございます」
ーーーー
その日の夜。
ラーシャとwomanはおしゃべりしていた。
〈なんか、最近うちの子強くて。もう、私はなんもしなくてもいいのかもしれません〉
《マナミは私と張り合ってますからね。現に雀聖位まで獲ってるし。見事なものですよ》
〈それにもうすぐでマナミは二十歳です。もう子供じゃない。神の力でアシストする期間はここまででいいか…なんて思ってましてね〉
《そうですね。それは確かに》
〈カオリさんもずいぶん強くなりましたよね。飲み込みも早いし、賢い子です〉
ガチャ
「ただいまー」
〈あっ、マナミが帰って来ました。お喋りはこれくらいにしましょう〉
《お帰りなさい、マナミ》
「おかーさーん、カオリー」
(2人とも居ないか)
するとカオリもすぐに帰ってきた。
ガチャ
「ただいまー。あっ、おかえりマナミ」
「カオリおかえり。どこ行ってたの」
「ユウのとこ。麻雀教室見に行ってた」
「あ、アイスコーヒー飲んできたんでしょ。いいなー」
「グリーンに行ったらアイスコーヒーは飲まないとね。それよりアンとショウコはユウの麻雀教室を手伝って3人で営業することに決めたようよ。その上で店名を何にするかで今悩んでるみたいだけど」
「出資者さんのお店が『喫茶店グリーン』だし、それにちなんで名付けたらどうかしら」
麻雀でグリーンと言えば『発』のことだ。『発』は正式名称『緑発』と言って『緑一色』という役満にも使われる牌である。
「じゃあ…発?」
「渋すぎない?一応私たち女の子よ、もちょっと可愛い名前で行こうよ」
「英語にするとか」
「喫茶店と同じになるわよ」
「そか」
「うーん…名前って難しい」
「じゃあ…『オールグリーン』とか」
「緑一色ね。いいかも」
その事をユウに話してみる。すると会議の結果、店名が決まった。
『まーじゃん教室【緑一荘】』
(第1回UUC杯優勝、第30回雀聖位戦準優勝の脅威の女雀士『佐藤優』のお店)
お店の名前と看板はこれで決まりになり。本格的にホームページの作成などし、活動時間こそまだユウが大学生なため短いがユウたちの夢が現実のものとして動き出したのだった。
最初のコメントを投稿しよう!