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18巡目
◉発売日決定
今日はついに師団名人戦プロ予選。財前姉妹はそこそこの実績こそあるが予選1回戦からの出場だ。まあ、普通はそういうものでありシード権のある新人なんてそうはいない。新人でありながら本戦からの出場になっているミサトは特別凄いのである。
「じゃあ、お互い頑張ろうね」
「1回戦からコケないようにね!」
「マナミこそ。つまらないミスしないでよ」
そう言うと2人はお互いの拳と拳をコン!と突き当てて1回戦の卓へと移動した。(麻雀プロを1年以上やってカオリにもこういう体育会系のノリがやっとわかってきた。プロ雀士には体育会系が割といる)
1回戦
対面の人は後ろが通路なのでちょっとだけギャラリーを背負っていた。見やすい位置だからというだけの理由だろうが、その対面さんはプロ1年生のようで見られることに慣れてないようだった。そして3副露して手牌を上下整えるとピシッと手前に寄せる。そこまでは普通だけど、その寄せた手牌を卓の手前位置から一向に戻そうとしない。それを見てピンとくる。
(ははあ、対面さんはカン二かペン三待ちね)と。
《どうしてそうなるんですか?》
(これはね、ハートが弱い人にしか分からないことよ。見られてる時にね愚形だと恥ずかしいの。だからさっき上下を入れ替えたのは整えたんじゃなくてむしろ逆にしたんだと思う。カン二待ちかペン三待ちだとしてそれって牌を逆さまにして卓の端に付けちゃえば段差があるからペンチャンかカンチャンかシャボかリャンメンか分からないの。つまり、後ろで見てる人がいるから3副露もして愚形ってのが見られたくないんだよ)
《はあ、なるほど。その読み当たってそうですね。捨て牌的にも萬子の下がありそうな感じですし》
(絶対この読みで当たりだと思う)
そして、その読みがあるのでカオリは手牌を二二三のままキープしていた。するとツモ二!
(どうやらカン二で決まりね。勝ったわ!)
「リーチ」
二二二三②③④⑤⑥⑦⑦⑦⑦ ドラ⑤
しかし…
「ツモ」
一三④④ 二ツモ(中中中)(⑤⑥⑦)(八八八)
「1000オール」
(これ負けんの!)
《コレはちょっとつらいですね》
(まあでも、読みが確認できて良かった。やっぱり対面さんは緊張してる。つまり、隙だらけってこと!勝てるわ。私なら)
多少のギャラリーで緊張してしまう対面にはカオリに勝つような実力は無かった。偶然、今この瞬間だけ少し運が良かったに過ぎない。それでも勝てるのが麻雀ではあるが、結局はカオリの勝利で1回戦は終わる。
1回戦終了
「カオリ、どうだった?」
「トップ通過。マナミは?」
「当然、トップ通過」
パン!
カオリとマナミはハイタッチして次の卓へと移動するのだった。
ーーーーー
一方、左田純子は仕事がついにひと段落つきそうだった。
(あとは、ヤチヨちゃんに書いてもらった実話を元にした小説を校正してー。少し写真を載せたら完成か。長かったなー。これで私の夢が一つ叶うんだ。自分じゃなきゃ作れない、私の雑誌。嬉しい…)
月刊マージャン部創刊号は10月1日に発売が決定した。
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