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5巡目
◉唾液
座順
東家 ポロシャツ
南家 スキン安村
西家 ギザギザベルト
北家 財前香織
東1局はスキン安村の白ドラ1から始まった。2000点でポロシャツの親は流される。放銃したのはカオリだ。
《ま、切るべき牌を切ったに過ぎませんし。気にしても仕方がないでしょう》
(そう思う。こんなのはどうでもいい)
その程度では動じないカオリ。その後満貫をスキン安村からアガリ返してトップ目になる。事件が起きたのは南1局のポロシャツの親番だった。
ゴクリ
配牌を取るなり2巡目からお茶を飲むポロシャツ。それを見たカオリは察知していた。
(これは、親に高くて鳴ける手が来たな)と。
ドラは二なので捨て牌の情報も加味すると『チャンタ三色役牌ドラ1』か『純チャン三色ドラ1』が本線だろう。とにかく、やばい。
喉を潤したくなるのには理由がある。人間は緊張している状態。つまりストレスを感じている状態になるとサラサラした唾液の分泌が止まるようになっている。そうなると飲み物を飲みたくなるのだ。麻雀に集中している時なら特にこの傾向がある。無意識に飲んでいるのだから本能に忠実な動きであるはずだ。つまり、序盤から出るであろう牌が急所牌になっている高打点手が来ており、それが出て来ないからストレスになっている。そう読めるのだ。
カオリはそこに注意しながら手を進めた。チャンタ系には鳴かれないようにと。そして7巡目。
「ロン!」
一二三七八九①①⑦⑨789 ⑧ロン
「18000」
放銃したのはギザギザベルトだった。
(やっぱりな)カオリは思った。
所作ひとつ。飲み物ひとつから相手の手牌構成を予測して警戒できるカオリにはダマテンだって意味がない。ギザギザベルトは最後まであがいたが無意味な失点をしないカオリはそのまま2着で4回戦を突破した。
財前カオリプロ。師団名人戦本戦行き決定!
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