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7巡目
◉手牌占い
場決めにより2回戦の座順が決まった。ゲーム開始だ。
東家 豊田貴志
南家 井川美沙都
西家 新田忍
北家 白山詩織
『さあ、準決勝A卓2回戦が始まりました。1回戦は現女王位の白山プロが圧倒する展開でしたがーー』
『点差がつき過ぎましたよね。2回戦は2位争いになるでしょうからおそらく白山プロは通過するんじゃないですか。問題はあと1人は誰になるのか』
『いやいやー、麻雀は何があるかわかりませんよ?』
『小林プロほど堅実な人でもそう思いますか。私みたいなトップラス麻雀ならそれも分かりますけど』
『思いますよ!だってホラ。私、けっこう自信あったのに1回戦敗退しましたし』
『でしたねー。ウチの子が強くて』
『財前カオリさん。あれは強いワ』
『話してるうちに選手たちの手が整ってきましたよ』
西家新田手牌
二三四①②③④⑤⑨⑨223 ③ツモ ドラ5 3巡目
『もうテンパイしました!3巡目。アガれそうな手ですけどダマでいいんじゃないですかね。まだ三色にすんなり変化もあるし。ドラの在処も分からないという怖さもある。豊田の親番を流すという意味でもとりあえず自分ならリーチはしませんね』
「リーチ」
『曲げましたよ』
『そうですねえ…』
「ツモ!」
『一発ツモだあーー!』
『やりますねえ、私なら400.700でした』
『多分私もそうです』
新田がまずピンフのみを5200点に仕上げた。このアガリを見てシオリは思った。
(なにこのアガリ。フリー雀荘じゃないのよ?ダマで三色つけてからリーチでいいでしょ。勢い任せの素人麻雀ね)それはまさしくそうで、新田は確かに素人麻雀だった。だが、この局で彼は自分の勢いを占っていた。こんな簡単なリャンメンがアガれないようなら厳しいだろう。アガれたらまだ行ける。一発ツモならイケイケだ!と。
新田は強者にしては珍しいが自分の未来を手から占う。手牌占いを信じる自己暗示タイプなのだった。それが偶然一発ツモなんてしてしまったからもう大変。新田のテンションは密かにこの時爆上がりしていた。
「リーチィ!」
もうこうなってしまった新田のテンションを止めるのは難しい。
「ツモっ!」
新田手牌
①②③④⑥⑦⑧⑨11444 ⑤ツモ
新田忍の反撃が始まった。
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