麻雀少女青春奇譚【財前姉妹】完結!

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10巡目 ◉歴史を変える女たち 「かんぱーい」  カオリたち麻雀部はミサトの決勝戦進出を『グリーン』で祝っていた。今日は特別にいつもは頼まないコーヒーフロートだ。 「やー、やっぱりフロートはソフトよりバニラアイスに限るわ。このアイスと氷が接触してる部分にシャーベットが出来上がって、それがコーヒーとすごく合うのよ。わかる?」 「あー分かる!そこ美味しいよね!」  タイトルホルダーだろうがプロ雀士だろうが女の子はアイスが好きなのだ。 ワイワイ ワイワイ  あーだこーだ騒がしいカオリたちだが今日はもうお客さんがカオリたちしか居なかったので容赦なく騒いだ。こんな時間がカオリたちの青春だった。楽しい。心から好きだと思える仲間たちと今のこと、未来のこと、思い出話。好きなことを好きなだけ話す時間。  こんな風にwomanともずっと話していられるものだと思っていたのに。 (大人になんてなりたくないな…) 《なにを言ってるんですか。そんなの無理ですよ。生きている以上必ず大人にはなります》 (そうだね。分かってるよ) 「カオリー。私、明日早いからもう帰るよー」 「あっ、待ってよマナミ〜。一緒に帰ろうよー」 「あんた達姉妹は本当仲良しね。よし、私もそろそろ帰ろう」そう言ってミサトも精算を済ませた。 「みんなもあまり遅くならないようにね。じゃお先に」 「バイバーイ」「さよーならぁ」 ーーーー ーーー  駅までの帰り道、カオリたちはさっきの話の続きをしていた。 「私たちが仲良しなのはさ、高校生になってから姉妹になったってのが逆に良かったのかもね。もうケンカとかする年齢じゃないからね」 「そう言えば、ケンカしたことないかも」 「その分卓上でぶつかり合ってるから」 「それは間違いない」 「カオリ」 「なあに、ミサト」 「私はカオリとぶつかりたいよ」 「…決勝来いってことね。絶対行くから…大丈夫。楽しみにしてて」 「約束だよ」 「うん。絶対!」  熟練の雀士達を倒してきたプロ雀士だとは思えない、あまりにも若くて美しい青春模様がそこにはあった。しかし、彼女達の麻雀は間違いなく最先端で最高峰の技術を持っており、いま麻雀界の歴史を塗り替えようとしているのであった。  来月はついに師団名人戦準決勝B卓開催!カオリとジュンコの戦争が始まる。
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