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第六局
【規格外の新人編】
1巡目
◉人生を賭けた舞台
ユウは勝ち抜いて決勝まで駒を進めていた。だが、決勝卓はユウ以外は全員競技プロのそれも中堅クラスかそれ以上だった。(さすがに厳しいかな)とユウは萎縮する。だが、(いや、私はもう何度もプロを相手にしてきたんだ。マナミもカオリもミサトもみんなプロになったじゃないか。今更びびったりしない!)と、思い直し。眉毛をキッ!とブイの字にして(よしっ…やるわよ!!私の全力を込めて戦う!)と気合いを入れた。
猿山プロと富士島プロはエネルギッシュな麻雀で力強いし杜若プロは女流では最上位にあたるランクのベテランプロだ。ユウの麻雀がどこまで通用するだろうか。
東家 杜若アカネP
南家 佐藤ユウ
西家 富士島ケンタロウP
北家 猿山カズトシP
「よろしくお願いします!!!」
並の相手との対戦ではない。強敵との決勝戦。この対局に佐藤ユウの真価が問われていた。
「リーチ!」
開局してすぐ、ものの3巡で猿山の先制攻撃が始まった。
「ツモ!」
一二三五六七③④456西西 ②
「1300.2600」
(メンピンツモドラか)
「はい」
5200程度たいした打点ではないが一回勝負の決勝戦にはそれでも大きなリードであった。まず猿山がこの半荘の主導権を手にしたと言っていい。
東2局
素早く杜若が仕掛け始める
「チー」
「ポン」
「ロン」
放銃したのは猿山だった。
2344588(四四四)(二三四)
「2000」
トップ目の放銃はありがたいが、この時ユウにも勝負手が来ていたのでチャンスをモノに出来なかったことが少しダメージだった。
そこからしばらく手が整わない局が続き勝負は間もなくクライマックス。全員トップになれる可能性がある点差で最終局面を迎えていた。
全員が燃えていた。決勝戦最終局面。猿山カズトシが、富士島ケンタロウが、杜若アカネが、そして佐藤ユウが、名誉を掛けて今、己の魂をぶつけ合う!それはある種の命の奪い合いだった。全員が自分の人生を賭けて、いま心を燃やしていた。
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