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ナポロさんが落ち着いたところで、改めて店内を見て回った。
太さのあるもの、長さのあるもの、ペン先――という表現で正しいのか分からないけど、先端を取り替えられるものなどなど、本当にさまざまな種類が揃えられている。
「どれでも気になるものを手に取ってみてください。筆記具は手に合うものが一番大事ですから」
というナポロさんの言葉に甘え、色んな形の筆記具を持ち比べてみると確かに持った感覚が全然違う。
「試し書きはこちらでどうぞ」
「ありがとうございます」
差し出された貝殻を受け取り、三本ほどを試してみると書き心地も全然違っていた。
「この三本ならこれが一番書きやすいですね」
「なら、おすすめはこの棚ですね。これとかどうでしょう?」
ナポロさんに勧められるがまま、次々に試し書きをしていく。
どれもサラサラと書ける持ちやすいものだ。
しかしナポロさんには何やらこだわりがあるらしく、次から次へと筆記具を取り出していく。
「これは違うな。こっちは少し重いか……?」
時折聞こえる呟きから、僕にぴったり合うものを探してくれているようだ。
結果として、二十本近くの筆記具で試し書きをしてようやく文句なしの品が見つかった。
試し書きの貝殻は三枚にもなった。
「これなら快適に文字が書けますよ」
「ありがとうございます。大切に使います」
もちろん購入――なのだけど、一つ浮かんだ疑問を投げかける。
「この筆記具って陸でも使えますか?」
「ええ、使えますよ。とある商会長さんが『陸でも問題なく使える』と仰っていましたから」
「そうなんですね。なら安心して使えます」
陸でも使えるなら何も心配はない。
筆記具は丁寧に包まれ、手入れの手順書ももらった。
これを使うのが、今から楽しみだ。
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