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ふと目を覚まし、どうにもならない飢餓感を思い出す。
僕がこの地下牢に入れられてから、すでに四日が経過していた。
(……お腹、空いたな……)
ただそれだけを思い浮かべ、石の床に転がったまま変わらない景色を眺める。
与えられるのは一日にコップ一杯の水だけ。これで飢えないわけがない。
汗を舐め爪をかじり、何とか気を紛らわして迎えた今日、久しぶりに伯父上がやってきた。
「食事だ。食え」
給餌口から差し入れられたトレイの上には、料理が一皿載っている。
皿の上には何かのソテーが盛り付けられていた。肉か魚か、とにかく大きめの生物の一部のようだ。
「あ、ありがとうございます……」
這いずり、すがるようにトレーへ手を伸ばす。
指先に触れたナイフとフォークを握りしめ、とりあえず皿の上のモノを刺した。
食事のマナーを守っていられる余裕はない。フォークに刺した肉を持ち上げ、そのまま歯を立てた。
肉は柔らかく、意外と淡白だ。ほとんど付け合わせのソースの味になっている。
それでも付け合わせのソースはおいしいし、しっかりとした大きさの肉は空腹を満たしてくれる。
あっという間に皿は空になり、僕はフォークを置いた。
「……ごちそうさまでした」
「よし、食べたな?」
なぜか確認するように伯父上は言い、牢の鍵を外した。
「ついて来い」
言われるがまま、伯父上の後について地下牢の奥へ進む。
そして突き当たりの部屋に入り――目を疑った。
部屋の中央にはベルト付きの椅子があり、壁には斧、短剣、ハンマーといった武器凶器がびっしりとかけられていたのだ。
「……ここで一体何を――っ!?」
言い終わるより前に頭に強い衝撃を受け、視界が白く飛んだ。
ズキズキと頭が痛み、ゆっくりと視界が赤く染まっていく。
「さあ、実験開始だ」
伯父上の冷たい声を聞きながら、僕は意識を手放した。
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