どうしたって好きだから

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 どうしてか、なんて理由を訊かれたら、どうしてだろうと思う。  言葉にできないけれど、多分こうなるだろうなあという、妙な確信。  そして、やっぱりその通りになってしまう現実。    隣に住む義弥(よしや)とはもうずっとそういう関係で、だから三年前にケンカしたときも大して気にしてなかったんだ。  時が来れば、また「(りょう)兄ちゃーん、って何事もなかったように泣きついてくると思ったから。  だけどどうやら今回だけは、違ったようだ。  そろそろ義弥が稜のところへ来るだろうと思い、待っていたのに、気づけばあれから三年も経っていた。  今でもまだ、信じられない。  隣同士だというのに、何の音沙汰もなく三年も過ぎるなんて。  あのとき高校三年生だった義弥も今や大学三年生だ。  義弥の母から、義弥が家から通える地元の大学へ進学したことは聞いていたが、肝心な本人からは一度も合格の報告がなかったし、もっと言うとこの三年、その姿を直で見ていない。  いったいどうして、こんなことになっちゃったんだろう。  あの時のケンカの原因は大したものじゃ……なかったはずなのに。  過去を思い出しては、はあ、と毎回盛大なため息をつき、稜は隣りの蓮田家二階の一番端を力なく、しおしおと見上げる癖がついていた。  
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