123人が本棚に入れています
本棚に追加
どうしてか、なんて理由を訊かれたら、どうしてだろうと思う。
言葉にできないけれど、多分こうなるだろうなあという、妙な確信。
そして、やっぱりその通りになってしまう現実。
隣に住む義弥とはもうずっとそういう関係で、だから三年前にケンカしたときも大して気にしてなかったんだ。
時が来れば、また「稜兄ちゃーん、って何事もなかったように泣きついてくると思ったから。
だけどどうやら今回だけは、違ったようだ。
そろそろ義弥が稜のところへ来るだろうと思い、待っていたのに、気づけばあれから三年も経っていた。
今でもまだ、信じられない。
隣同士だというのに、何の音沙汰もなく三年も過ぎるなんて。
あのとき高校三年生だった義弥も今や大学三年生だ。
義弥の母から、義弥が家から通える地元の大学へ進学したことは聞いていたが、肝心な本人からは一度も合格の報告がなかったし、もっと言うとこの三年、その姿を直で見ていない。
いったいどうして、こんなことになっちゃったんだろう。
あの時のケンカの原因は大したものじゃ……なかったはずなのに。
過去を思い出しては、はあ、と毎回盛大なため息をつき、稜は隣りの蓮田家二階の一番端を力なく、しおしおと見上げる癖がついていた。
最初のコメントを投稿しよう!