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稜と義弥は五歳違いの幼馴染だ。
姉ばかり三人いる四人姉弟の末っ子だった稜にとって、五年遅れで隣に生まれた義弥は、実質弟のようでとてもかわいくて、とにかく守ってあげなきゃいけない存在だと認識していた。
多分、義弥もそんな稜へ懐いてくれていたと思う。
が、今となってはどこかのタイミングで稜の存在が負担になっていたのかもしれない。
そりゃ、そうだ。
高三の思春期多感な時期に、五歳も年上の男が何かにつけて着いてまわってたら、義弥だって自由に動けない。
出逢った頃の自分を慕う義弥を思い出し、自然と頬を緩める。
引っ込み思案で稜の後ろに隠れ、真ん丸の黒い瞳を瞬かせながらいつも心配そうにこちらを見上げてくる義弥。
だから、いつも稜が気持ちを代弁し、あれこれ先回りしながらお世話して──いま思えば、これがよくなかったのかもしれない。
三年経ってようやく、ケンカの原因というより、稜のその行き過ぎた行為が義弥を苦しめてたのではないかと気づいたのだ。
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