銀のお守り

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楓子は中学、高校を地元で過ごした後、東京の大学に進学した。大学卒業後、そのまま東京の小さな商社に就職し、社内結婚した。四年前には女の子が生まれ、幸せな毎日を送っている。 「さあ、ご飯にしましょう。今日は陽菜(ひな)ちゃんの好きなホワイトシチューよ」 帰宅した父親の達也も交えて、一家団欒が始められた。 「今日は、保育園で何をして遊んだの?」 「うーんとね。お絵描きでしょ、それとかくれんぼね」 「楽しかったかい」 「うん。パパ、とっても。栗林先生がね、陽菜はとってもお絵描きが上手ねって、褒めてくれたの」 「栗林先生? あら、陽菜の先生は、岡田先生でしょ?」 「ううん。岡田先生は急に病気になったの。それでね、今は栗林先生なの」 「どんな先生だい? 奇麗な先生?」 「まあ、達也ったら。そんなことしか興味ないの?」 「とーっても奇麗な先生よ。陽菜も大きくなったらあんなに奇麗になりたい」
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