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国江は自分の思考と関わりのない領域で無邪気に遊ぶ猫たちの姿をじっと眺め、そこから得られた癒しで心を平静にして言った。
「あの、私は真希の悩みにきちんとした回答を与えることはできないけど、自分だったら相手と別れる方向に距離を広げていくかな。
まだ1年生なんだし、将来に関して約束めいたことをしてるわけでもないんでしょ? 相手も理性的な人みたいだし、さりげなく自然消滅にもっていけばいいんじゃないかな」
国江の真摯さが陽光のように温もりをもって心に沁みとおってきたが、その反面、真希の心にはそれに反発する影がくすぶっていた。
理性では国江の意見に共感するしそうするのが最善だと思うものの、感情は理性に同調しなかった。
感情の中でも最も奔放な恋愛感情の御しがたさを、真希は生まれて初めて思い知った。
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