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ママが私の横に来て、指輪ケースを差し出した。
「ナオキの前で、この指輪をはめてあげなさい。ナオキが喜ぶわよ」
私は肯くと指輪を左手の薬指にはめた。本当はナオキにはめて欲しかった。
指輪はぴったりで、その手をナオキの顔の前に掲げて見せた。
「ナオキ、ありがとう」
後ろからすすり泣きが聞こえた。
その時、会場の外が騒がしくなった。
「そんな汚い格好でなんの用事だ。お前が来るところじゃない。出て行け」
梶さんのボディガードが誰かを追い返そうとしていた。
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