5章 永遠

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 ママが私の横に来て、指輪ケースを差し出した。 「ナオキの前で、この指輪をはめてあげなさい。ナオキが喜ぶわよ」  私は肯くと指輪を左手の薬指にはめた。本当はナオキにはめて欲しかった。  指輪はぴったりで、その手をナオキの顔の前に掲げて見せた。 「ナオキ、ありがとう」  後ろからすすり泣きが聞こえた。  その時、会場の外が騒がしくなった。   「そんな汚い格好でなんの用事だ。お前が来るところじゃない。出て行け」  梶さんのボディガードが誰かを追い返そうとしていた。
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