神の名はアリス

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カツッ…カツッ…。 微かな明かりの灯った階段をゆっくりと上っていく。 ここは東京、渋谷にあるとあるビル。 普段は会社員たちが働いている場所だ。 しかし、現在の時刻は深夜を回ろうとしていた。 ビルには誰もいない。 この男以外は。 カツッ…カツッ…。 男はドアの前に辿り着いた。 ガチャ。 キィー。 無機質な音が響く。 冷たい風がドアの隙間から流れ込んでくる。 男はそれを気にすること無く前に進んでいく。 ここは屋上。 上からは渋谷の街を一望できる。 カッ。 男は屋上の縁に立った。 下を見ると大勢の人が道路を行き来していた。 ?「…」 男性の目からは涙が溢れた。 ?「アリス…」 男は屋上から真っ直ぐに身を投げた。
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