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サンタさんは忙しいから。
だから、僕にプレゼントをくれないんだろう。
毎年手紙を書いて、クリスマスツリーにかけているのにちっともプレゼントがこない。
僕は、窓を開けた。
ピューと冷たい風が息とともに入ってくる。
「今年は来てくれるよね。サンタさん」
声に出していってみると、雪が鼻に積もる。
どうやら雪には好かれているようだ。
「雪は良いよね。どこでもふれてどこでも行けて、きっとサンタさんのところにも積もってるんだよね。」
今年は来るよね、サンタさん。
心の中で呟いた。
ビューと冷たい風が入ってきてやっと寒いことを自覚した。
慌てて窓を閉める。
カーテンがゆっくりと揺れた。
こたつに潜ると、暖かくて目をつぶる。
気がついたときにはもう次の日になっていた。
今日は……クリスマス…!
僕は慌ててツリーの前に行くと、立ち止まった。そして手を目の前でこすりつける。
「今年は来てますように……。」
ゆっくりと目を開けた。
そこには手紙がおいてあった。サンタさんからの手紙だ!
僕はワクワクしながら手紙を開ける。
『君はもう子供じゃないからプレゼントは持ってこれないよ』
ゆるゆるのパジャマを着た大人は、クリスマスツリーの前で呆然と立ち止まっていた。
完
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