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新しい家族
「お兄ちゃん・・・・・・俺も行きたい」
「ダメ」
「俺も連れてって・・・・・・お兄ちゃんったら・・・・・・」
「ダメだって・・・・・・お兄ちゃんって言うな」
「だって・・・・・・・お兄ちゃんじゃん」
「俺はお前のお兄ちゃんじゃない・・・・・着いてくんな」
「・・・・・・・・」
「帰れ」
1年前俺の家に親父が綺麗な女の人と小さな男の子を連れてきた・・・・・・・新しいお母さんと弟・・・・・・
そんなこと突然言われても俺は認めない・・・・・・・この人をお母さんって認めたら病気で死んだ母さんはどうなるんだ‥‥…可哀想じゃん・・・・・・・だから俺は絶対お母さんなんて認めない・・・・・だからこの子も弟とは思わない。
中一の時に親父が連れてきた小3の男の子はフワフワのカールした薄い茶色の髪で大きな目に長いまつ毛、色も白くてめっちゃ可愛かった・・・・・・
一目見てこんな弟がいたら毎日一緒にお風呂入って髪の毛洗ってあげたり夜も一緒に寝て怖い夢見たらギュって抱きしめて「お兄ちゃんが要るから大丈夫」って言いたい。
そしてどこへ行くにも連れて行ってみんなに自慢したい・・・・・・それぐらい可愛かった。
でもこいつを弟とは認めたくない・・・・・・こいつを弟だって認めたらこいつの母親も認めたことになる・・・・・・・
それなのにこいつは始めて逢った時から「お兄ちゃんお兄ちゃん」って懐いて纏わりついて離れない・・・・・・いくらついてくんなっていっても・・・・・・あっち行けって言っても・・・・・・着いてくる。
何度言っても着いてくるからしまいには「帰れ!」って怒鳴るとあいつはジッとその場に立ったまま動かなくなって俺の後ろ姿を泣きながら見つめてる・・・・・・
「いいよおいで」って手を差し出したらどんなに喜ぶかわかっているのに言ってやらない・・・・・・
あいつの笑顔はだれもが嬉しくなるようなかわいい笑顔なのに最近見なくなった・・・・・・きっと俺のせい。
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