本当の気持ち

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本当の気持ち

あの小さかった海が作ったサンドイッチ・・・・・・弁当はずしりと重かった・・・・・・中身がどんななのかは食べるときの楽しみに取って置いた。 グズグズとこだわっていた自分は中身は今だに子供のままでその間に小さかった弟は料理の手伝いをやって親を説得してすっかり大人になっていた。 これまでとは違う朝を迎えて学校へ行く・・・・・・朝ごはんを食べたせいか授業中も講義に集中できた。 情けない兄だ・・・・・本来なら朝早く電車に乗る弟の為に自分が朝食と弁当を用意してやるべきだった。 高校時代の自分を思い出してみる・・・・・・・ギリギリまで寝て慌ててパンを咥えて学校まで走った・・・・・・家の手伝いなどやったこともやろうと思ったこともなかった。 授業が終わって買い物をして部屋へ帰る・・・・・・今日はバイトもない。 海が帰ってくるまでに夕食を作ろうと思っていた・・・・・・慣れない手つきでキッチンに立つ。 日曜日に海と一緒に買い物に行って買った包丁とまな板・・・・・・鍋やフライパンも購入した。 皿やお椀、ごはん茶碗など何もなかった・・・・・・自炊など考えてもいなかった。 海は自分と一緒に住むために料理を教わったと言っていた・・・・・一人暮らしがしたいと言いながら食事は全てコンビニか弁当で済まそうと思っていた自分の考えの甘さを実感した。 レシピを見ながら〈一人暮らしの簡単料理〉の中のカレーを作った・・・・・・・切って煮て野菜が柔らかくなったら火を止めてカレールーを入れるそしてまた火を付けて煮込む・・・・・・・肉は鶏肉にした・・・・・これでチキンカレーの出来上がり。 早く海に食べさせて自慢したかった・・・・・・・ 高校生までの自分と今の自分・・・・・・・ずっと海の事を無視してきた自分とは大違いだったが今の自分の気持ちこそが本当の自分だった。
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