海を帰そうと決めた

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海を帰そうと決めた

何度も時計を見る、時間が少しも進まない・・・・・・やっと最終電車の到着時間になった。 ホームから改札に向かう人の中、必死で海の姿を探した。・・・・・・・出てくる人はまばらだった。 数人の人の後に海が歩いてくるのが見えた‥‥…ホッとしたのと嬉しいのと愛しさが募る、人目も憚らず思わず大きな声で名前を呼んだ。 「海」 俯いていた海が顔を上げる・・・・・・・にっこり笑って手を振った。 「棃音」 走って改札を出る海・・・・・・俺は海を抱きしめてその身体の無事を確かめた。 涙が溢れて止まらなかった・・・・・・海を抱きしめながら泣いてる俺の背を海が優しくなでた。 「棃音ごめん・・・・・・・心配かけて」 「乗り過ごしたのか?」 「うん寝てたら終点まで来てた」 「電話したのに繋がらなかったけど・・・・・・」 「充電切れてて・・・・・・ごめんね」 「そっか・・・・・良かった無事で・・・・・・帰ろ」 「うん」 部屋に戻ってコンビニの弁当を食べる・・・・風呂に入って寝たのは1時を過ぎていた。 俺は寝ている海を見て考えていた・・・・・・・これ以上こんな生活を続けていたら身体を壊してしまう。 海を家に返す事に決めた‥‥… 翌朝起きると学校へ行った後だった・・・・・・テーブルには弁当と朝ごはん。 わずかな時間しか寝てないのに・・・・・・・ 土曜日朝からいい天気だった・・・・・・・海の作った焼きたてのトーストと目玉焼きにコーヒーを入れて一緒に食べる。 海の嬉しそうな顔が眩しい。 俺は食事の片づけを終えると海に自分の考えを話した。 このままでは身体を壊す事・・・・・ 二時間の通学時間は長すぎる事・・・・・・ 勉強をする時間も無くなってせっかく一緒に住んでもこれでは悪い結果ばかりになってしまう。 だから今は家に帰って学校へ行ってしっかり勉強して睡眠も充分にとって健康でいてほしい・・・・・週末は泊りに来ればいいし夏休みには一緒に海か山でバイトして旅行に行こう・・・・・・それじゃダメか? そう言った・・・・・・海は俺の話を身動きせずに聞いていた。 そしてコクンとうなずくと俺の目をじっと見つめて・・・・・・「分かった」そう言った。 日曜日に二人で実家へ帰った・・・・・・父と母に一か月海がいつも4時過ぎには起きて俺の朝ご飯と弁当を作ってくれたこと・・・・・・帰りは10時前になることなどを話した。 海に話したことと同じことを話す。 二人とも同じ気持ちだった・・・・・学校へは家から通うことそして週末は俺の所へ来ることを承諾してくれた。 海が俺の所へ行ってから二人は俺と同じ心配をしていたらしい・・・・・・それでも無理に留めることもなく海の納得するようにさせてくれた事に感謝した。 俺は一人電車で部屋へ帰った・・・・・・・海の居ない部屋・・・・・・たった一か月だったのにもう前の一人暮らしの気軽さよりも海の居ない寂しさが大きかった。 以前と同じ1週間が始まった・・・・・・海が来るまで後4日。 朝ごはんも作った・・・・・・もちろん夕食も簡単なレシピを探して手作りをした。 海が帰ってきても恥ずかしくないように・・・・・・少しづつ料理のレパートリーも増やしていく。 金曜日までの4日間がとてつもなく長く感じた。
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