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「瑠花ちゃんって、何か庇護欲を掻き立てるよな。守ってあげたくなる……」
拓也にそう言われた瑠花は、瞬時にあることを封印すると決めた。
大丈夫。多分気付いていないはずだ。
「瑠花です」と名乗った後は、三人の会話に笑顔で相槌を打ちながら、せっせと鍋に具材を放り込んでいただけだ。
「じゃあ守ってほしいなぁ……なんてね」
瑠花は手を止めてそう返すと、笑顔を弾ませた。
拓也に一目惚れだった。
親友の小雪と、その向かいに座る小雪の彼氏の大輔、その横に座る大輔の親友の拓也というメンバーで、小雪の家で鍋を囲んでいた。
「それって、私が小さいからですかぁ?」
身長150センチの瑠花は、少し唇を尖らせて聞いた。
「まぁそれもあるかもしんねぇけど、何かふんわりした雰囲気とか、今みたいな、おっとりした話し方とか……」
やっぱり、と瑠花は思った。
男はどうして小さくてふんわりでおっとりに弱いのだろうか、と。
ふと隣に目を遣ると、小雪がにやにやしていた。小雪は事情を知っている……かどうかはわからないが、今の瑠花の話し口調を聞いて、きっと勘付いたはずだ。
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