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でも、お見合いしたって言っていたから、その人と結婚して一緒に住むかもしれない。
どこかでまだ期待している。
別れるって言ったのは私の方なのに。
空也といても苦しい時間は多かった。
幸せで甘い時間もあったけど、それと同じくらい怖い時間もあった。
抱かれても……愛しく思う気持ちは募っても、それと同じくらい不安は募った。
『お前の物だ』
そう言ってくれたけど。
『俺の物』
そう言ってくれたけど、胸が苦しくなるほどの不安はついてきた。
絶対的な関係なんて本当に無いから。
いつかは壊れてしまいそうな不安にいつも襲われていたから。
「まだ決めてないです」
新しい部屋を探さないといけない。
空也に何て言おう。
あの時のように……怒るだろうか。
痛いくらいに掴まれた肩。怒りに震えた声。
あの後、空也に好きだと伝えた。
二度目のキスをした……。
「初。具合が悪いようだったら、ナースコールしてね」
「はい」
点滴の調節をして美音が出ていった。
あの時も空也が雑誌でスクープされて結婚するんじゃないかって思って……。
勘違いだったけど。
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