来襲

6/12
前へ
/131ページ
次へ
 空也にそう言われて、彼を車に乗せた。マンションにつく間に彼は自己紹介をしてくれた。  名前はジュディー・レオンという名前で、ロイとは友達らしい。  空也は何か知っているようだけど、黙ってマンションまで連れて行った。  鍵を開けると同時にジュディーは部屋の中に飛び込んでいった。  リビングで大きな物音がして慌てて後を追う。  ロイが大声で叫んで、それをジュディーが収めている。 「空也?」  振り返って空也に尋ねる。 「痴話げんかだ」 「え?」  空也は言い争っている二人をそのままにキッチンの方へ向かう。 「初音」  手招きされて、キッチンについて行く。 「何ですか?」 「紅茶でも入れよう」 「いいんですか?」  二人を指さす。 「ああ。付き合う必要はない」  空也はキッチンの上の方の棚から紅茶の缶を取り出して、ヤカンにお湯を沸かす。  カップもいつもとは違う上等のカップを用意している。  何で? 「しばらくかかりそうだな」  空也の言うように恋愛関係の話であることは分かった。 「初音。食事はまた今度になりそうだ」 「ええ。それはいいですけど……」
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

237人が本棚に入れています
本棚に追加