来襲

10/12
前へ
/131ページ
次へ
「え? 空也は?」  空也を見る。  空也が少し驚いた顔をした後、首を振った。 「僕、ゲイじゃないよ」  ロイが笑う。 「え?」 「初音?」 「え、だって『僕はそれでもいい』って……」 「ああ……あの時言ったのは、僕の考えってことだよ。空とは何でもないよ」  ロイが笑う。 「ですが……寝室は?」  確かに寝室は使った形跡もあったし、寝乱れたロイとシャワーを浴びていた空也……そういうことじゃなかったのだろうか? 「寝室はロイが使ってた」 「空也は?」 「俺はお前の部屋」 「え?」 「初音君……僕たちのこと誤解してた?」 「ご、誤解……」  真っ赤になって顔を両手で隠した。 「そうかなって少し思ってたんだよね。ごめんね」  ロイが謝る。  わざとだったってこと……。  わざと誤解を招くような発言をしてたってことなのか……。 「ロイ……お前、何言ったんだ?」  空也の声が低い。  機嫌が悪い。 「別に……だって、仲いいんだもん。僕なんて傷ついて日本まで来てるのに……」  わざと頬をふくらまして口を尖らせた。
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

235人が本棚に入れています
本棚に追加