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雪解け
どのくらいそうしていたのか、机の上に物を置く音で顔を上げた。
「これ……」
置かれた物を手に取る。
白磁の入れ物。
「直してくれたんですか?」
手にとって、蓋を開ける。
接着剤で止めたらしく、線が入っていたが、綺麗に元の形に戻っていた。
「ありがとう」
中には沢山の金平糖が入っていた。
甘い匂いがする。
空也が横の椅子に座って、持っていた入れ物を取り上げて蓋をするとテーブルの奥に押しやった。
「さて、何から話してもらおうか」
空也が肩肘をついて空いてる手で頭を撫でた。
緊張する……。
今紅茶を飲んだばかりなのに喉が渇く。
「ロイの話からすると、何か誤解してたようだが」
「………」
「俺とロイができてるとでも思ってたのか?」
髪を弄られる。
「……はい」
「どうしてそう思ったんだ?」
「その……寝室をロイ君が使ってたって知らなかったんです。それで……空也に会いに来た時に空也はシャワーを浴びていて……だから……」
「俺に聞けば良かったんだ」
「ご、ごめんなさい」
「お前は言葉が足りないといつも言ってるだろう」
「ごめんなさい」
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