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「ええ……あの時、空也からは香水の香りがしました。ロイ君では無かったし、雅さんのでも無かったです」
抱きしめられた時に微かに香った香水。
あれは誰の物?
「ロイの母親」
「え?」
「あの日、ロイの母親から呼び出されて、ロイが日本に来た本当の理由を聞いた。その時についたんだろう。あいつの遊びが過ぎて、とんでもないのに手を出して大騒ぎになってるってな」
「ジュディーさんとのこと?」
「そうだ。ジュディーは大富豪の子息だ。ロイは遊び半分で付き合ったみたいだが、そのうち本気になって、結婚目前に破棄したらしい。相手も相当の富豪で、立腹しているらしくて、ロイはおそらく勘当だろうな」
「勘当されるとどうなるんですか?」
「仕事もしてるし、大したことはないが、業界にはいられないな」
「業界?」
「ああ。ま、セレブの集まりには出られなくなるな」
「へぇ~」
『セレブの集まり』がよく分からない。とにかくお金持ちが集まるところには出入り禁止になるってことだろう。
「あれ、でも、ロイ君の家族は旅行に行ってるんじゃないんですか?」
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