雪解け

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「こんな騒ぎになってて俺の実家にいる。父親はロンドン」 「そうなんですか……」 「気は済んだか?」 「何がですか?」 「『別れてください』の誤解は解決したのか?」  そういえばそんな話でした。 「許して……くれますか?」  誤解が解けても空也が許してくれなければ元には戻れない。  肘をついた上に顎をのせて、不機嫌そうな顔の空也。 「あの後、お前おかしくなっただろ……入院するぐらい体調を崩して……」 「はい」 「お前……自覚がないだろ」  また、髪を弄られる。  耳元の髪を弄られるとくすぐったくて首をすくめる。 「何の自覚ですか?」 「『甘えてろ』って言ったのは俺だが、正直、『別れてください』には腹が立ってる」 「いたっ」  髪を引っ張られる。  首を引いて空也の手から逃げた。 「元気になったからな。明日から仕事に行くんだし……このまま追い出しても……」 「………」  追い出されるんだ……。 「でも、またどこかで倒れられても面倒だ」 「………」  空也が顎を掴んで逃げないように押さえる。 「『別れてください』を撤回するか?」
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