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「ゆ、許してくれるんですか?」
「許さない」
「じゃぁ……どうしたらいいんですか?」
「俺が『愛してる』と言ったことも疑ったしな……」
「そんな……疑ってなんて……」
「信じてないから俺が見合いをして結婚すると思ったんだろう?」
「それは、だって……そう思うじゃないですか」
「電話にも出なくて、俺を拒絶した」
「ご、ごめんなさい」
「俺は許さない」
強い眼差し。
別れるってことだろうか……。
このまま、ここを追い出されてしまうんだろうか。
顎を掴んだ手が放れて、頬を撫でる。
「初音……」
優しい声。
俯いた顔を下から見上げるようにのぞき込まれる。
「何ですか」
「自覚が足らないって言っただろ」
「はい」
空也が立ち上がって、手を引かれる。立ち上がって引っ張られるまま寝室に連れて行かれる。
ドアを閉めて、ベッドサイドの明かりだけを点けて、ベッドに押し倒される。
「く、空也?」
「お前は自覚が足らない」
「だから何の自覚なんですか?」
胸がドキドキする。
見下ろされて、ライトで照らされた空也の顔に陰ができる。
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